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脂溶性ビタミン総合研究委員会Research Committee on Fat-Soluble Vitamins (RCFSV)

ビタミンKとは

神戸学院大学 薬学部
中川公恵(Kimie NAKAGAWA)

 私たちは、日常的に食事から脂溶性ビタミンの一つであるビタミンKを摂取していますが、ビタミンKは、食品の種類により含まれる種類は異なります(図1)。私たちが主に摂取しているビタミンKは、緑色野菜に含まれるビタミンK1(フィロキノン; PK)が最も多く、その他では、菌類が産生し発酵食品に含まれるメナキノン類(MK-n, n=6〜14)があります。摂取したビタミンKは、血液凝固や骨形成を促進する作用を持つタンパク質を活性化する働きを担っています。また、摂取したPKやMK-nの一部は、生体内でビタミンK2(メナキノン-4; MK-4)に変換され、MK-4として様々な生理作用を示します。MK-4はビタミンKの中で最も強い活性を持つことから、細胞や組織内で重要な役割を示していることが明らかになってきています。

 ビタミンKにはいろいろな生理作用があり、一つは血液凝固因子を活性化することにより、血液凝固を促進する作用です。ビタミンKの摂取量が不足すると、血液凝固不良となります。特に産後間もない新生児では、母体からのビタミンK供給量の不足により、新生児頭蓋内出血を起こすことがあるため、出生後にMK-4シロップの経口投与が行われています。

その他には、ビタミンKは骨形成に働く骨基質タンパク質を活性化し、骨質を維持する働きを促進することから、骨にも必須の栄養素です。ビタミンK摂取量が不十分な場合では、骨粗鬆症や骨折の罹患リスクが高くなること、変形性関節症などの発症リスクが高くなることが報告されています。臨床では、MK-4製剤が骨粗鬆症治療薬になっていますが、栄養素として日常的にビタミンKを摂取することは、これらの骨・関節疾患の予防には重要であるといわれています。また、最近では、ビタミンKが血管の石灰化を抑制する作用があることや、脳の認知機能低下を予防する効果あることなども報告されています。

 ビタミンKは食事から容易に摂取できる栄養素ですが、野菜や発酵食品の摂取不足により疾患リスクが高くなる可能性があります。そのため、日常的にビタミンKを含む食品をしっかり摂取することが、ビタミンK不足の予防には重要であるといえます。

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